日本の法律では、弱い立場の人間が一方的に言いなりになってしまう状況を避けるために様々な制度が設けられており、多重債務になってしまった場合でも合法的に借金を大幅に減額できる方法があります。

たとえば、経済ニュースでよく出てくる企業の民事再生は、世間一般では倒産と混同されていますが、実際には多数の債権者と合意の上で行われる再出発のための制度です。

根拠となっている民事再生法では、主に大手に比べて立場が弱い中小企業を対象としており、不況のあおりによって大手企業の民事再生も増加しています。

裁判所から任命された人間が監督役を務めることで、債権者と事業者のどちらにとっても円満な解決を目指す仕組みです。

公的機関が管理する関係上、各自が勝手に債権を取り立てることが禁じられ、民事再生法に則った手続きが進行していきます。

債務超過に陥ってしまった事業者を救済するための制度であると同時に、債権を回収できなくなってしまった債権者に対する部分的な救済にもなっているのが特徴です。

そして、近年に多重債務になる個人が増加した社会的背景を鑑みて、民事再生法の範囲に新たに個人再生が付け加わりました。

正確には改正民事再生法と呼ぶべきですが、債務整理の現場では依頼人に分かりやすくするために個人再生法とも呼ばれています。

個人再生は、サラリーマンから個人事業主まで幅広く対応しており、任意整理と自己破産の二択であった状況に風穴を開けました。

免責にならない恐れがある自己破産と違って、返済能力があれば確実に大幅に減額することができ、加えて大半の債権者からの同意がなくても実施できる制度によるフォローもあるのです。

新たな個人再生法は、まさに弱者である個人を救済するための法律であり、すでに自己破産を利用していてもう裁判官から否認されそうだという方にも、計画的に返済していく道となります。

マイホームを所有したまま借金を大幅に減額したい方にも個人再生が向いていて、任意整理の軽めの減額ではもう手遅れという状況で選択されているのが現状です。

特に、住宅ローンの返済期間を延ばせる制度が便利で、個人再生による再生計画と併用することで、マイホームを守れる可能性が飛躍的に高まります。

任意整理と自己破産の中間に位置する個人再生のおかげで、あまり生活環境を変えずに借金を大幅に減額する選択肢ができました。

個人再生法に従って手続きを進めなくてはいけないため、迅速かつ適切に手続きをしてくれる法律の専門家に委任するのが一般的です。